アプリの心理学
飲食店に行くと、そのお店が提供している公式のアプリの推奨ポスターをよく見かけます。
そして、そのアプリを使うことで新商品の情報を速やかに得たり、クーポンによって商品を安く買えたり、目に見える色々なメリットがあります。
一見すると、そのアプリを使わない手はないように思えます。
自分が持っている情報を全て駆使して合理的な判断ができるような人なら、目に見える害が無く、情報を与えてくれ、商品の値段を下げてくれる公式アプリは鬼に金棒的な存在です。
しかし、自分が持っている全ての情報を駆使できるわけではなく、朝に広告で見たハンバーガーを”無性”に食べたくなって昼にファストフード店に足を運んでしまうような、直感的に行動してしまうような人たちには公式アプリはマイナスにも働いてしまいます。
公式アプリの存在により誰の目から見ても体に悪いことが明らかなファストフードを食べる頻度が上がってしまうのは人々のためになるとは到底思えません。
公式アプリを入れることにより私たちの無意識に一体何が起こってしまうのでしょう。
公式アプリの心理効果
公式アプリをスマホに入れることにより、その公式アプリが情報を利用者に与えたり、そのアプリ自体が「広告」としての役割を果たしてしまいます。
情報に触れたり、アプリアイコン=広告を見ることにより「プライミング効果」や「単純接触効果」が働いてしまいます。
プライミング効果
まず、プライミング効果とは「何か刺激を与えることによって、その後の行動に影響が出てしまう現象」です。
プライミングとは先行刺激という意味で例えば「年配」を想起させる言葉を使わせることにより、無意識のうちにその人が鈍足になってしまった、という研究があります。
このプライミング効果は我々の無意識に影響を与える現象です。
公式アプリから新商品やクーポンの情報が通知されそれを認識することにより、自分達がいざ何か選択しようとするときに、無意識のうちに通知された新商品や、クーポンにより安くなる商品を思い出しやすくなってしまい選択肢しやすくなってしまいます。
簡単な例では「昼何食べよかっかなー。」で「さっき通知されたサムライマック食べてみよう」と考えてしまったりします。
そして、我々にとっては残念なことに(企業にとっては喜ばしいことに)こういった新情報は公式アプリによって、ひっきりなしに通知されます。
それによって、常に先行刺激が与えられる状態になってしまい、常に選択肢が操られてしまうことになります。
単純接触効果
次に単純接触効果です。
単純接触効果とは「何回も会っている人や物事に無意識のうちに好意を抱きやすくなる現象」です。
ほとんどの場合、公式アプリのロゴはそのお店のロゴと同じです。
例えば、マックのアプリとマック実店舗のランドマークは同じ柄になっています。
公式アプリを入れることにより、特定の店のロゴを毎日見ること(見せられること)になるので、現実世界でそのロゴを見た時にそのロゴに対して好意を抱きやすくなってしまいます。
それにより、そのお店を選びやすくなってしまうのです。
つまるところ、私たちは公式アプリを入れることによって無意識のうちにそのお店やその店の商品を選びやすくなってしまいます。
いくら、お得にお店を利用できるとしても、そのお店を不合理な程に何回も使ってしまうと、健康もお金も犠牲になってしまいます。
自分に心理バイアスをかけないために、ひいては心理バイアスに対抗するために、公式アプリをスマホに入れないのは「人間」にとっては合理的な選択のかもしれません。
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