日記

失明の恐怖と絶望と復活

一日目

時は6月。

その日、朝、目覚めた時からどうも目の調子が悪かった。

目覚めた時から、興ざ『目』。なんちゃって

目に違和感があるが一時的なものだと思い、いつものように支度をして大学へ行く。

授業を受けて、昼寝をした後にバイトに向かった。

そして、始まるバイト。

自分はホールスタッフ(注文取りや料理の配膳が仕事)で料理を運んでいる途中、左目に激痛が走った。

とにかく痛い。

鋭利なものが目に刺さっているような痛さ。

すぐに断りを入れて、目薬を打ちに裏へ行く。

目薬を点眼したら、ある程度痛みは収まった。

だから、仕事に戻り、時間になって家に帰る。

その日の晩。

眠りにつこうとしているときに左目に激痛が走る。

さっきよりも痛い。

すごく痛い。

失明するんじゃないかと思うぐらいの痛さ。

怖くてネットで自分の症状について調べると、アメーバの画像が出てきた。

アメーバが原因で目の痛みが生まれているのなら、最悪失明。

そうでなくても、治療は困難を極めるらしい。

悪寒が走った。

仮面ライダーゼロワンで飛電或人がアークワンになったときの思いを知れた。

その日は目の痛みと失明するかもしれない絶望とで頭がいっぱいいっぱいだったから、睡眠薬を久方ぶりに飲んで無理やり意識を落とした。

二日目

目を覚ました。

まだ、目が痛い。

興覚めだ。

心が闇に覆われた状態で惰性で外に出る準備をし病院へ。

問診票を書いて、自分の診察の番を待っていたら、目の検査をされた。

黒目にぺらぺらの検査キットを覆うように一瞬かぶせてウイルスを拾い、目の痛みの原因を調べるためのものだった。

検査が終わり、自分の名前が呼ばれる。

検査の結果、ウイルス見つからなかった。

そこでいろいろ質問された。

水道水でコンタクトを洗ったか?

落ちたコンタクトを目につけたか?

もしかしたら、最悪のケースかも知れないといわれた。

脳裏に昨日見たアメーバがよぎった。

薬を出すからこの薬が効かなかったらまた考えましょうといわれた。

絶望だった。

薬をもらって、そのあとその日何をしたのか覚えていない。

一日中、心ここにあらずだった。

三、四、五、六日目

目薬を差し始めて、時間がたつにつれ目の痛みが治まってきた。

うれしかった。

希望が持てた。

もしかしたら、”最悪の場合”ではないかもしれない。

病院に行ってから4日目。

先生に来いといわれていたので行って、目の痛みが治まっていることを報告したら、よかったねー。と言われた。

症状的に本当にやばい病気だったのだろう。

追加の薬をもらいそれを使い切ったらまた来てねと言われた。

後日

痛みが完全になくなった今余裕を持って思えるようになったことがいくつかある。

一つ目は人間は簡単に絶望するということだ。

もしかしたら失明かもしれない。

まだ失明したわけでもないのに僕はすごく憂鬱になっていた

そして何に対してもやる気が起きず、未来に絶望していた。

二つ目は人間は簡単に希望を信じれるということだ。

期待していなかった目薬により、目の痛みが少し収まったとき、もしかして失明なんてしないんじゃないか。大丈夫なんじゃないか。

そんな風にまだ痛みがなくなったわけでもないのに楽天的に考えていた

つまるところ、僕の感情は未来に反応していた。

未来での失明。未来での目の痛みの完治。

今に対して感情は動いていなかった。

この発見はいつか使えるかもしれない。

こんなに感情が乱高下したのは人生この時以外ないと思う。