所有効果
今回紹介する心理効果は「所有効果」です。
所有効果とは「あるものが自分のものとなると、それを手に入れる前よりもそのものの価値を高く見積もってしまう現象」です。
ある実験で被験者を二つに分け片方のグループにマグカップを与え、いくらだったら売ってもよいか尋ね、もう一方のグループにはそのマグカップをいくらだったら買ってもよいか尋ねました。
客観的に考えたらある物を持っているか否かでその物の客観的な価値は変わらないので売ってもよい金額と買ってもよい金額に大きな差は生まれないはずです。
しかし実験の結果、マグカップを与えられた被験者の「マグカップを売ってもよい」として提示された金額はもう一方の被験者の「マグカップを買ってもよい」として提示された金額の二倍ほどでした。
その実験では、ある物が自分のものになることでその物の主観的価値が二倍近くになったわけです。
なぜこのような結果になったのでしょう?
考えられる要因として、「用途」があります。
ある物を手に入れたら僕たちはそのものを使うか手放すかの2通りしかありません。
しかし、その物と同じ価値の貨幣を持っていた場合はどうでしょう。
貨幣はいろいろなものに替えられます。
その結果、貨幣はその額で買えるいろいろな物と比べることから相対的な価値を見出せるのに対し、物はそのものの消費体験からしか価値を見出せません。
その結果、客観的な視点を見失い価値を過大評価してしまう可能性があります。
同じようにメルカリなどのフリーマーケットアプリで出品する側は『所有効果』により出品する物の価値を過大に見積もってしまい、その価格で満足する購入希望者が現れず、商品が売れないことになってしまいます。
だから、メルカリで商品を売るとき、価格を決めた後、『所有効果』分の値段を引くことで、適切な価格設定が可能になります。
以上所有効果の紹介でした。
参考書籍
予想通りに不合理:https://amzn.to/3OIcUl4