モラルライセンシング
今回紹介する心理効果は『モラルライセンシング』です。
モラルライセンシングとは『何か良い行動をとると、つじつま合わせをするように、悪い行動をしてもいいかなと考えてしまう現象』です。
せっかくジムに行って汗を流して、『健康』に向かって一歩前進したのに、『今日はジムに行って頑張ったからラーメン食べてもいいかな』と考えて3分タイマーを起動してしまえば、今度は一歩後退してしまいます。
プラマイゼロになってしまうのです。
一過性のものに対してのモラルライセンシング(例:道端に落ちていたゴミを拾った俺偉い。さっきいいことしたし、トイレでちょうどトイレットペーパーが切れたけど面倒だからこのままにしよ)はそこまで大きな問題にはならないのですが、今回のジムの例など、投資財(健康のために長期的に行う投資:野菜、運動、深い睡眠)でのモラルライセンシングは非常に考え物です。
長期的に見て、自分のためになることをせっかくしたのに、モラルライセンシングが働き自分の害になる行動をとってしまうと、始めの行動が無に帰することになってしまうからです。
モラルライセンシング対策法
すべてのバイアスに言えることですが、そのバイアスを認識さえできれば、直観に頼らず熟考することでバイアスに立ちむかうことができます。
『モラルライセンシング』という概念を思い出せるように自分が善い行いをするタイミング(ジムを出る時間など)でリマインドメールを送るようすれば、モラルライセンシングの魔術にかかっている自分の目を覚まさせることが可能になります。
また、悪い行動=不正を一時的に減らすために、倫理感を思い出させるという方法があります。
モラルライセンシングによる反動で不正を働いてしまいそうなときに、自分の左右の小指と小指を合わせて疑似的に『指切りげんまん』再現することで、約束を守らなければならないという倫理観を思い出し、不正を思いとどめられるかもしれません。
以上モラルライセンシングの紹介でした。
今思ったんですけど、『自分へのご褒美』ってモラルライセンシングですね。
(この記事を書いた日には1時間目に授業がありました。目をこすりながら授業を受けてきました。帰ってきて『今日は頑張って1時間目行ったしな』と無意識のうちに考えてしまい、だらだらすごしてしまいました。だからこの記事を書こうと思いました。)
参考書籍
ずる――噓とごまかしの行動経済学:https://amzn.to/3CrAkbE
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