この記事は『婚活マエストロ』を読了した方向けに書いています。
ネタバレ注意 読んでない人は読んでみて!
始めに
『婚活マエストロ』を読み終えた!
本屋さんでこの本を見つけた時、自分は情報を入れていなかったから、『宮島美奈の新刊!?』ってなって、中をパラパラめくってみると、サイン本だったからすぐにかごの中にいれた。
サイン本が置いてあるジュンク堂書店様様だね。
成瀬あかりファンとしてこのサイン本は相当うれしい。
読書感想文
この本の主人公は婚活マエストロではなく猪名川健斗というネット記事のライターである。
ここも『成瀬は天下を取りに行く』、『成瀬は信じた道を行く』のスタイルと同じである。
話の中心人物に『婚活マエストロ』を置き、違う人の視点から『婚活マエストロ』を紐解いていく。
どんな人だろうとワクワクしながら読めるからこのスタイルの本を読むのは楽しい。
この物語は、猪名川健斗がひょんなことから婚活会社に関わるようになり、婚活マエストロ/鏡原奈緒子と出会い新たな人生観を得る物語である。
成瀬シリーズとの違いは成瀬あかりと違い、婚活マエストロは超人ではないというところだ。
もちろん、婚活マエストロと呼ばれているだけあって、互いに気になっている者同士の匂いを嗅ぎ付け、引き付け合わせてカップルを成立させる天賦の才をもっていたり、確固たる信念を有しているので、『婚活なんて意味ない』と非難する人に対して毅然として反論するなど、際立つ人物である。
しかし、婚活マエストロ/鏡原奈緒子はちゃんと失敗もするし、失敗したら落ち込む。
だから、芯を持っていて頼りがいがあるが、きちんと隙があって親近感をもてるような人物だ。
それにより、婚活マエストロを他の人の視点で紐解きながら、同時に読者は婚活マエストロの視点にも立つことができる。
それがこの本の面白さであると思う。
印象に残った言葉
婚活マエストロは担当する婚活パーティーでフリートークの時間などで、参加者の男性と女性に一対一で話してもらう時間を設ける。
そのフリートークの時間は3分ほどで3分経ったらまた別の人と3分間話してもらう。
そのとき、婚活マエストロが時間を計るときタイマーではなくストップウォッチを使う。
その理由が美しい。
タイマーでは時間が『0』にどんどん近づいていくので、2人の会話が『終わりに近づいていく』かのように感じられる。だが、ストップウォッチでは時間がどんどん増えていく。だから、二人の会話が『続いていく』かのように感じられて、この婚活パーティーでの会話の先があるかのように感じられる。だから、ストップウォッチを使う。
数え方で感じ方を変えるというアイデアがなくて、びびっときた。
こんな風に同じものをポジティブに感じられるようなちょっとした工夫ができるようになりたい。
猪名川健斗の『こんな俺でも人の役に立てるんだとわかって感動した』という言葉も好きだ。
人の役に立つことがこんなにも人の心を動かすんだと思ったのと同時に、見るも無残な状況で自分のことがくだんねえなと思っていても人の力になることで自分自身を認められるようになるんじゃないかなと思った。
人の力になれる自分が新たな自分のアイデンティティになるのかもしれない。
すごく面白い本だった。
あの二人はいい関係になっているといいな。
あとこの本、身近な単語がたくさん出てくるから、物語に入り込みやすくて楽しい。
それと、成瀬も乗っていたミシガン号に婚活マエストロ達も乗っているのがエモいね!
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