心理学解説

ーー目指せ脱バイアスーー心理学・行動経済学解説「フォーカシングイリュージョン」〜なぜ彼は誰にも気づかれないような二重整形(ふたえせいけい)をするのか〜

今回紹介する心理効果は「フォーカシングイリュージョン」です。


フォーカシングイリュージョンは日本語で「焦点の錯覚」と呼ばれます。


フォーカシングイリュージョンとは「何か特定のことを考えているときはその特定のことを必要以上に重視してしまう現象」です。


だから、フォーカシングイリュージョンは「焦点の過大評価」と呼んだ方がわかりやすいです。


例を挙げると、「あなたは札幌に住んでいます。今日の気温は‐12度であいにくの大雪。電車で友達に会いに行く予定は雪かきに変わりそうです。さあ、札幌に住んだときの幸福度はどれくらいでしょう。」と聞かれた時、我々は「気候」に焦点に当て、「極寒の過ごしにくい気候」を幸福度に置き換えて、幸福度を低く見積もります


では、こう聞かれた場合はどうでしょう。


「あなたは札幌に住んでいて今日も朝から会社へ。通勤ラッシュに揉まれながらいつも通りの仕事をする。へとへとになって帰ってきて自分へのご褒美でNetflixを見て寝床につく。さあ、札幌に住んだ時の幸福度はどれくらいでしょう。」


こう聞かれたら、自分が福岡に住んでいても大阪に住んでいても東京に住んでいても札幌に住んでいても日常生活に大きな違いがないことがわかります。(通勤ラッシュのレベルくらいか)


ですからこの場合、「気候」という生活の中で占める割合が低い要素を過大に重視せずに、生活の大部分を占める「日常生活」を幸福度に置き換えて、適切に幸福度を評価することができます。


このよう私たちは特定のことを考えている時、または考えさせられている時にその物事を過大に重視してしまいます。 


これは「整形」にも当てはまります。


本人は目が一重なのを「過度に」気にして、こうすればカッコよくなれる!と「過度に」期待して、二重に整形します。


しかし、周りの人間は彼の目をそこまで重視していないので(他の人が一重が二重かなんて気にしたことがあるか?)一重から二重になったことにそもそも気付かないかもしれません。


僕たちが何かに悩んでいても、1年後には「こんなことで悩んでいたのか」となるのもフォーカシングイリュージョンですね。

何かが頭を支配している時、僕たちはそれを過大評価してしまいます。
悩みがある時には頭を切り替えるために旅行に行ってリフレッシュ!は心理学的にも正しいといえるかもしれません。

参考書籍

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